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大塚ホールディングスに転職したい人のための企業分析

大塚ホールディングス(大塚製薬)に転職したい人のための企業分析
※この記事は2023年3月期決算の情報に基づきます。
精神・神経領域に強みを持つ大塚製薬と経口抗がん剤に強みを持つ大鵬薬品をグループとする大塚HD。本記事では大塚HDの「成長性」「強みを持つ領域・モダリティ」「将来性」の3つに焦点を当て、企業分析を行った。それぞれの項目について、グラフを用いて述べていきます。

(1)大塚HDの成長性

大塚HDの売上高、営業利益の5年間推移

大塚HDの5年間(2018~2022年度)の売上高と営業利益を、決算情報(*1)~(*5)をもとに下のグラフにまとめた。なお、2023年度は大塚HDの決算情報(2022年12月期)で報告された業績予想である。
大塚HDの売上高、営業利益の5年間推移
大塚HDの売上高、営業利益の5年間推移
※23年度は予想

売上高の推移から、2018年度から2022年度の5年間は緩やかではあるが順調に成長していることが読み取れる。2022年度の売上高は1兆7,380億円で2021年度の1兆4,983億円と比較して16.0%の増収となった。国内製薬企業で最も売上を上げている武田薬品工業(2022年度売上高:4兆275億円)とは大幅な差があるが、国内2番目の売上を記録している。
営業利益は5年間でほぼ横ばいであるが、特に2019年度は1,766億円、2020年度は1,986億円で2018年度の1,083億円より63%、83%増収した。2021年度、2022年度の営業利益は減少傾向にあったが、大塚HDの決算情報によると2023年度は売上高が1兆8,000億円で横ばい予想であるのに対し、営業利益は2,100億円で2022年度営業利益の1,503億円と比較して39.7%の増収が予想されている。これはグローバル4製品「サムスカ/ジンアーク」「レキサルティ」「エビリファイメンテナ」「ロンサーフ」が好調をキープするためであると考えられる。加えて「ポカリスエット」やサプリメントなどのNC関連事業の成長によるものであると報告されている。

大塚HDの地域別売上高の5年間推移

大塚HDの5年間の地域別売上高を下のグラフにまとめた。
大塚HDの5年間の地域別売上高
大塚HDの5年間の地域別売上高
日本国内での売上が2018年度は全体の50.0%であったが、2022年度は37.7%に減少している。ただ、大塚HDの総売上に占める国内売上の割合は他社大手と比較しても高い。例えば、国内製薬企業の大手である武田薬品工業やアステラス製薬は日本国内での売上が2022年度では12.7%、17.3%だった。一方で、大塚HDの米国+欧州での売上は2018年度の38.2%から2022年度は49.3%に増加したものの、他社大手と比較しても低い(武田薬品工業は73.1%、アステラス製薬は66.6%)。この結果から、大塚HDは北米での売上を伸ばしてはいるが、国内での売上が未だ多くを占めていることがわかる。

(2)大塚HDが強みを持つ領域・モダリティ

大塚HDの領域別の製品数と売上高

大塚HDの2022年度における領域別の主要製品数(売上100億円以上の製品数)と売上高を下のグラフにまとめた。
大塚HDの領域別の主要製品数(売上100億円以上の製品数)と売上高
大塚HDの領域別の主要製品数(売上100億円以上の製品数)と売上高
※売上が100億円以上の製品をまとめた

大塚HDが最も売上を上げている領域は精神・神経領域であり、抗精神病薬の「レキサルティ」が1,691億円、「エビリファイメンテナ」が1,654億円だった。次いで腎領域、がん領域となる。腎領域では水利尿剤も「サムスカ」、「ジンアーク」、がん領域では経口抗がん剤「ロンサーフ」が多くの売上を上げている。グラフから、大塚HDは特に精神・神経、腎、がん領域に強みを持つことがわかる。

大塚HDのモダリティ別の製品数と売上高

大塚HDの2022年度におけるモダリティ別の主要製品数(売上100億円以上の製品数)と売上高を下のグラフにまとめた。
大塚HDのモダリティ別の主要製品数(売上100億円以上の製品数)と売上高
大塚HDのモダリティ別の主要製品数(売上100億円以上の製品数)と売上高
※売上が100億円以上の製品をまとめた

大塚HDの主要製品のモダリティはすべて低分子だった。

大塚HDの主力3製品の売上高の5年間推移

大塚HDが開発した製品の中で最も売上を上げているのは「サムスカ/ジンアーク」、次いで「レキサルティ」「エビリファイメンテナ」だ。これら3つの製品を主力3製品とした場合、大塚HDの成長は主力3製品の売上高の増加に大きく依存していると考えられ、主力3製品の過去5年間の売上高推移をグラフにした。
大塚HDの主力3製品の過去5年間の売上高推移
大塚HDの主力3製品の過去5年間の売上高推移
主力3製品の売上が順調に伸びていることが読み取れる。また、全体の売上高に占める主力製品の割合は3割程度と低い。これは大塚HDの特徴ともいえるNC関連事業での売上が売上全体の約25%を占めている点が要因としてあげられる。大塚HDは2014年度までは「エビリファイ」一つで売上の40%を占める一極集中型であり、2015年に米国での特許切れを受けて大型のパテントクリフに見舞われた経験を持つ。このパテントクリフからのV字回復を支えたのが4つのグローバル製品「サムスカ/ジンアーク」「レキサルティ」「エビリファイメンテナ」「ロンサーフ」であり、「エビリファイ」に比べて売上高は小粒ではあるが複数の製品で売上高の回復を実現させ、2023年度は過去最高売上を記録する予想である。以上のように多くの製品・複数事業で分散して収益を上げていることからも研究開発力の高さと将来の安定性がうかがえる。

(3)大塚HDの将来性

大塚HDの国内開発パイプライン数

大塚HDの将来性を評価するため、国内開発パイプライン数を調べた。下に現時点(2023年3月期)でP3~申請段階まで進んでいる国内開発パイプライン数(*6)をまとめたグラフを示す。
大塚HDの国内開発パイプライン数
大塚HDの国内開発パイプライン数
現在申請の段階まで達している医薬品は2製品、P3は9製品ある。以上のことから、新薬となりえる開発パイプラインを多く有しており、今後の安定性を十分にうかがえる。

大塚HDの領域別の国内開発パイプライン数

続いて大塚HDが現在注力している領域を調べるため、2023年3月期でP3~申請段階まで進んでいる国内開発パイプライン数を領域別でまとめた。そのグラフを下に示す。
大塚HDの国内開発パイプライン数(領域別)
大塚HDの国内開発パイプライン数(領域別)
現時点で申請まで進んでいる製品は精神・神経領域で1つ、がん領域で1つだった。P3段階まで進んでいるのは精神・神経領域が最も多く6つ、次いで腎領域で2つ、がん領域で1つだった。以上のことから、大塚HDは精神・神経領域に特に注力していることがわかる。

大塚HDのモダリティ別の国内開発パイプライン数

最後に大塚HDが現在注力しているモダリティを調べるため、2023年3月期でP3~申請段階まで進んでいる国内開発パイプライン数をモダリティ別でまとめた。そのグラフを下に示す。
大塚HDのモダリティ別の国内開発パイプライン数
大塚HDのモダリティ別の国内開発パイプライン数
現時点で申請段階まで進んでいるのはすべて低分子で2つ、P3まで進んでいるのは低分子がほとんどで7つ、抗体が1つだった。モダリティ別のパイプライン数からもわかる通り、大塚HDは低分子創薬に強みを持つことがわかる。

まとめ

成長性
  • 売上高は5年間は緩やかではあるが順調に成長。
  • 北米での売上を伸ばしてはいるが、国内での売上が未だ多くを占めている。
強みを持つ領域・モダリティ
  • 精神・神経領域で最も売上を上げている。精神・神経、腎、がん領域に強みを持つ。
  • 低分子に強みを持つ。
  • NC関連事業を有しており、売上全体の約25%を占めている。また、全体の売上高に占める主力製品の割合は3割程度と低い。
将来性
  • 精神・神経領域に注力しており、多くのパイプラインを持つ。
  • 低分子創薬に強みを持ち、多くのパイプラインを持つ。

この記事について

この記事は、クリニファー株式会社のインターンシップ社員が企業ホームページのIR資料などを独自に調査し、執筆した記事になります。


出典

*1 大塚ホールディングス[4578]:2018年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結) *2 大塚ホールディングス[4578]:2019年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結) *3 大塚ホールディングス[4578]:2020年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結) *4 大塚ホールディングス[4578]:2021年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結) *5 大塚ホールディングス[4578]:2022年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結) *6 大塚ホールディングス[4578]:2023年12月期 第1四半期 決算補足資料

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