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転職したい人のための国内・海外製薬会社で注目されている疾患領域調査

転職したい人のための国内・海外製薬会社で注目されている疾患領域調査
転職したい人のための国内・海外製薬会社で注目されている疾患領域調査
※この記事は2023年3月期決算の情報に基づきます。
今回は最も注力されている疾患領域を国内、海外に分けてグラフを用いて分析しました。
国内については、「国内製薬企業売上高ランキング上位11社」の2022年度に「100億円以上売り上げた製品」103製品を治療領域別にまとめました。海外については、「海外製薬企業売上高ランキング上位11社」の2022年度に「10億ドル以上売り上げた製品」107製品を治療領域別にまとめました。

国内で最も注力されている疾患領域 

治療領域別の売上高比較

「国内製薬企業売上高ランキング上位11社」の2022年度に「100億円以上売り上げた製品」103製品を治療領域別にまとめたグラフを以下に示します。
国内大手製薬企業11社の製品103品の売上高 治療領域別  ※クリニファー調べ
国内大手製薬企業11社の製品103品の売上高 治療領域別  ※クリニファー調べ
グラフから、がん領域が1位で2兆3,000億円、2位は精神・神経領域で1兆4,600億円、3位は免疫疾患領域で1兆800億円でした。国内の大手製薬企業が開発した医薬品においては、がん領域を治療疾患とする製品群が最も売上を上げており、日本国内ではがん領域の医薬品開発に注力している傾向が読みとれます。中でも最も売上を上げたのはアステラス製薬の前立腺癌治療剤「イクスタンジ」で6,611億円、次いで第一三共のADC抗悪性腫瘍剤「エンハーツ」で2,584億円でした。
2位の精神・神経領域の中では、最も売上を上げたのは武田薬品工業のADHD治療薬「ビバンセ」で4,593億円、次いで住友ファーマの抗精神病薬「ラツーダ」で2,081億円でした。
3位の免疫疾患領域で最も売上を上げたのは武田薬品工業の「免疫グロブリン製剤」で5,222億円、次いでアステラス製薬の免疫抑制剤「プログラフ」で1,988億円でした。
ではそれぞれの領域において、高い売上シェアを誇っているのはどこの企業なのでしょうか?各領域の売上高を企業別(上位3位まで)にわけたグラフを示します。
国内大手製薬企業11社の治療領域の売上高 企業別  ※クリニファー調べ
国内大手製薬企業11社の治療領域の売上高 企業別  ※クリニファー調べ
がん領域の売上で最も高いシェアを誇ったのがアステラス製薬でした。次に武田薬品工業、エーザイと並びました。がん領域においては、その他の企業も多くの売上を上げており、国内の大手製薬企業全体でがん領域に力を入れていることがわかりました。
精神・神経領域では武田薬品、大塚HD、住友ファーマの順で高いシェアを誇り、免疫疾患領域では武田薬品、アステラス、田辺三菱製薬でした。武田薬品は売上高上位3領域のがんや精神・神経、免疫疾患領域全てにランクインしており、他にも消化器領域や希少疾患でほとんどのシェアを誇っています。このことからも、国内製薬企業における武田薬品の存在の大きさをうかがえます。
今回は国内大手製薬企業が有する医薬品の2022年度の売上高を集計した結果をグラフにまとめましたが、今年2023年度はエーザイのアルツハイマー治療薬「レカネマブ」や第一三共のADC薬「エンハーツ」が話題となりました。このことから、今後は図2に示した治療領域のほかに認知症領域がエーザイの高いシェア率を誇りながら伸びてくると予想され、がん領域においても第一三共がランクインすると考えられます。

治療領域別の製品数比較

続いて領域別の製品数をグラフに示します。
国内大手製薬企業11社の製品103品の製品数 治療領域別  ※クリニファー調べ
国内大手製薬企業11社の製品103品の製品数 治療領域別  ※クリニファー調べ
グラフから、最も製品数が多かったのはがん領域で27製品、次いで精神・神経領域で21製品、3位は免疫疾患領域と血液製剤、糖尿病治療薬でともに10製品でした。製品数からも、国内大手製薬企業は特にがん領域、精神・神経領域に力を入れていることがわかりました。
各領域の製品数を企業別(上位3位まで)にわけたグラフについても以下に示します。
国内大手製薬企業11社の治療領域の製品数 企業別  ※クリニファー調べ
国内大手製薬企業11社の治療領域の製品数 企業別  ※クリニファー調べ
がん領域で最も製品数が多かったのは武田薬品で7製品、次いで中外製薬の6製品、アステラス製薬の3製品でした。精神・神経領域では大塚HDが最も多く5製品、エーザイが4製品、住友ファーマや武田薬品が3製品でした。がん領域、精神・神経領域ともにその他企業が有する製品数が多く、このことからも国内の大手製薬企業全体でがんや精神・神経領域に力を入れていることがわかりました。武田薬品は消化器や希少疾患にも力を入れており、多くの製品を有していました。
以上、国内の大手製薬企業が有する103製品の治療領域別売上高と製品数を調べた結果、日本の製薬企業は
  • がん領域
  • 精神・神経領域
に力を注いでいることがわかりました。

海外で最も注力されている疾患領域

治療領域別の売上高比較

続いて、「海外製薬企業売上高ランキング上位11社」の2022年度に「10億ドル以上売り上げた製品」107製品を治療領域別にまとめたグラフを以下に示します。
海外大手製薬企業11社の製品107品の売上高 治療領域別  ※クリニファー調べ
海外大手製薬企業11社の製品107品の売上高 治療領域別  ※クリニファー調べ
グラフから、「がん」が1位で1,218億ドル(15兆8,300億円 1ドル=130円換算)、2位は感染症領域で1,148億ドル(14兆9,200億円)、3位は免疫疾患領域で813億ドル(10兆5,700億円)でした。海外の大手製薬企業が開発した医薬品においても、がん領域を治療疾患とする製品群が最も売上を上げており、海外においてもがん領域の医薬品開発に注力しているようです。海外の大手製薬企業は日本の製薬企業と異なり、新型コロナウイルス関連製品などの感染症領域に力を入れています。逆に日本国内では新型コロナワクチンなどの開発が遅れている問題があります。
また、日本と異なり精神・神経領域の開発が盛んというわけではないことがわかりました。このことから、日本は精神・神経領域に力を入れているという点に特徴があると言えます。
続いて各領域で高い売上を上げている製品について、まずがん領域で最も売上を上げたのはメルクの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」で209億ドル(2兆7,200億円)、次いでブリストルの抗造血器悪性腫瘍剤「レブラミド」で100億ドル(1兆3,000億円)でした。
2位の感染症領域の中では、最も売上を上げたのはファイザーの新型コロナワクチン「コミナティ」で378億ドル(4兆9,100億円)、次いで同社の新型コロナ経口薬「パキロビッド」で189億ドル(2兆4,600億円)でした。
3位の免疫疾患領域で最も売上を上げたのはアッヴィのヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」で212億ドル(2兆7,600億円)、次いでJ&Jの潰瘍性大腸炎治療薬「ステラーラ」で97億ドル(1兆2,600億円)でした。
それぞれの領域において、高い売上シェアを誇っている企業を調べるため、各領域の売上高を企業別(上位3位まで)にわけたグラフを示します。
海外大手製薬企業11社の治療領域の売上高 企業別  ※クリニファー調べ
海外大手製薬企業11社の治療領域の売上高 企業別  ※クリニファー調べ
がん領域の売上で最も高いシェアを誇ったのがブリストル・マイヤーズスクイブでした。次にメルク、ロシュと並びました。がん領域においては、日本の大手製薬企業と同様に、その他の企業も多くの売上を上げていることから、業界全体でがん領域に力を入れていることがわかりました。
感染症領域ではファイザー、グラクソ・スミスクライン、メルクの順で高いシェアを誇り、免疫疾患領域ではアッヴィ、ジョンソンエンドジョンソン、サノフィでした。

治療領域別の製品数比較

続いて領域別の製品数をグラフに示します。
海外大手製薬企業11社の製品107品の製品数 治療領域別  ※クリニファー調べ
海外大手製薬企業11社の製品107品の製品数 治療領域別  ※クリニファー調べ
グラフから、最も製品数が多かったのはやはりがん領域で35製品、次いで感染症領域で21製品、3位は免疫疾患領域で20製品でした。製品数からも、海外では特にがん領域、感染症領域、免疫疾患領域に力を入れていることがわかりました。
各領域の製品数を企業別(上位3位まで)にわけたグラフについても以下に示します。
海外大手製薬企業11社の治療領域の製品数 企業別  ※クリニファー調べ
海外大手製薬企業11社の治療領域の製品数 企業別  ※クリニファー調べ
がん領域で最も製品数が多かったのはロシュで7製品、次いでノバルティスの6製品、ブリストル・マイヤーズスクイブの5製品でした。感染症領域ではグラクソ・スミスクラインが最も多く5製品、ファイザーが3製品、メルクが3製品でした。免疫疾患領域では、ジョンソンエンドジョンソンが4製品、アッヴィとノバルティスが3製品でした。がん領域、精神・神経領域、免疫疾患領域の3領域はその他企業が有する製品数が多く、このことからも海外の大手製薬企業全体でがんや精神・神経、免疫疾患領域に力を入れていることがわかりました。
以上、海外の大手製薬企業が有する107製品の治療領域別売上高と製品数を調べた結果、海外の製薬企業は
  • がん領域
  • 精神・神経領域
  • 免疫疾患領域
に力を注いでいることがわかりました。

まとめ

今回の記事は、日本の製薬企業が力を入れる治療領域と海外の製薬企業が力を入れる治療領域の違いを分析するため、国内・海外の大手製薬企業が有する製品を調べ上げました。
結果は、各治療領域の売上高・製品数から
  • 国内製薬企業はがん領域、精神・神経領域に力を入れている
  • がん領域では武田・アステラス、精神・神経領域では大塚HD・武田・住友ファーマが高いシェアを有している
  • 海外製薬企業はがん領域、感染症領域、免疫疾患領域に力を入れている
  • がん領域ではブリストル・ロシュ・メルク、感染症領域ではファイザー・GSK・イーライリリー、免疫疾患領域ではJ&J・アッヴィが高いシェアを有している
ことがわかり、日本は海外と比較して、
  • 精神・神経領域の開発に力を入れている特徴がある
  • コロナワクチン・治療薬など感染症領域の研究開発が進んでいない
ことがわかりました。

この記事について

この記事は、クリニファー株式会社のインターンシップ社員が企業ホームページのIR資料などを独自に調査し、執筆した記事になります。


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